生命保険信託について調べてみた!
遺産相続は家族にも相談しにくい場合があり、どうすればトラブルなく相続を終えられるのか悩む人も多いでしょう。遺産相続にはさまざまな選択肢がありますが、その中の一つとして生命保険信託という手段があります。
生命保険は多くの方が知っていると思いますが、それを信託するというの知らない人がほとんどでしょう。
この記事では、生命保険信託に関して次のような内容を紹介します。
- 生命保険信託とは
- 生命保険信託のメリットとデメリット
- 生命保険信託を扱っている企業
- 生命保険信託の流れ
- 生命保険信託にかかる費用
記事を読むことで、相続の選択肢として生命保険信託を選択するかどうか、また選択する場合にはどこのサービスを利用するかどうか判断するための材料になるでしょう。
生命保険信託とは
自分が亡くなった後に残された家族が困らないように、生命保険に加入する方が多いでしょう。しかし、残された家族が受け取った生命保険の管理を適切にできない可能性があります。
そのような場合に選択肢となるのが生命保険信託で、死亡保険金を信託企業が預かり、誰に、どのように、どういう優先順位で渡していくのか管理をしていきます。
生命保険信託と生命保険の違い
通常の生命保険も相続対策として使われることがありますが、通常の生命保険と生命保険信託はどのような違いがあるのでしょうか?
もっとも大きな違いは、保険金の受取人を家族以外に対して指定することが可能な点です。受取人に生命保険信託を扱っている銀行や保険会社を指定する場合、使用目的に沿った保険金の管理が可能です。
ここからは、生命保険信託のメリットとデメリットを確認します。
生命保険信託のメリット
生命保険信託のもっとも大きなメリットは、保険金を誰にいつ渡すのかを柔軟に管理できる点です。通常の生命保険では渡す範囲が限られますし、場合によっては悪用されてしまう可能性もありますが、生命保険信託であればその心配は少ないです。
特に、受取人が高齢者であったり知的障害を持っている場合など受取人自身で多額の金銭を管理するのが難しい場合、生命保険会社や信託銀行に管理を依頼することで、意図に沿った金銭の管理が可能です。
また受取人が高齢で無くなってしまう可能性がある場合には、受取人を複数指定しその優先順位も依頼者が決められるため、より意図に合った相続に近づけられます。
家族に渡す場合だけでなく、死亡保険金を社会の役に立てるために寄付をする場合にも、生命保険信託は活用できます。
生命保険信託のデメリット
生命保険信託にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
もっとも大きなデメリットは、信託契約をして生命保険金の管理を任せることになるため、その分のコストが必要です。各銀行や生命保険会社によって異なりますが、例としては次のようなものです。
- 信託契約締結時手数料(一度)
- 信託中の管理手数料(年毎)
- 保険金受取時手数料(都度or一括)
- 信託財産運用報酬
- 中途終了に伴う解約手数料
また、生命保険信託を使用したとしても遺産相続時の節税にはなりませんので、節税を目的とする場合は他の手段も含めて検討を実施する必要があります。
できる限り金額を多く残してあげたいと思う人が多いです。しかし、残したお金が意図しない使われ方をするよりも、手数料がかかってもきちんと使えるようにする方が重要だと感じる人も多いのではないでしょうか?
そう考える人にとっては、生命保険信託の利用をおすすめします。
手数料は各社条件が異なるので、他の条件も含めて複数社で確認してみると良いでしょう。
生命保険信託を扱っている企業
生命保険信託は、最初に始めたプルデンシャル生命を筆頭に日本国内でも多くの生命保険会社や信託銀行が取り扱っています。ここでは代表例としてプルデンシャル生命、日本生命、第一生命に関して、紹介します。
プルデンシャル生命
業界の先駆けとなっているプルデンシャル生命の信託を使用する際に発生する費用は次の通りです。プルデンシャル生命からプルデンシャル信託に保険金が支払われ、プルデンシャル信託が資金を管理します。
- 信託契約締結時:1件当たり5,000円
- 保険金支払時:分割の場合、受領保険金総額の2%、一括の場合1件当たり10万円
- 財産交付時:分割の場合、1件当たり年間2万円、一括の場合は費用発生無し
契約内容を変更する場合や、信託契約を解約する場合には特に手数料は発生しません。
日本生命
日本生命保険相互会社からは、ステップドリーム+という商品が出されており、これが生命保険信託にあたります。
契約から15年間は既定の利率で死亡保険金額が増加していき、15年以降は国債の流通利回りに応じて死亡保険金が増加していく点が特徴です。契約に関しては、50歳以上90歳以下で200万円以上~10万円単位で上限は7億円までとなります。
また、日本生命の業績がよく決算で剰余金が発生した場合にはステップドリーム+の契約者に対して配当金を受け取ることが可能です。これらの配当金は、要望がない限りは自動的に積み立てられていきます。
手数料に関しては明記されておらず、それらも含めて利率や支払金が決まっています。
第一生命
第一生命の生命保険信託は、想いの定期便という商品が出されています。ただし、実際にはみずほ信託銀行の商品であり、信託契約の代理店として第一生命が関わっています。
生命保険の契約及び支払いは第一生命、生命保険の受け取りはみずほ信託銀行が実施し、管理していく形になっています。
想いの定期便では最長25年にわたって財産を管理運用してもらえ、取り扱いは原則1,000万円以上で1円単位で設定できる点が特徴的です。管理をしていく中で、信託に必要な手数料に対して配当が少ないことで最終的に受け取れる金額が元本を下回る可能性がある点に注意が必要です。
- 信託契約締結時:1件当たり55,000円
- 保険金支払時:分割の場合、受領保険金総額の2.2%、一括の場合1件当たり10万円
- 財産交付時:分割の場合、1件当たり年間2.2万円、一括の場合は費用発生無し
- 死亡保険金により金銭信託を設定しない場合には、110,000円(税抜100,000円)の信託報酬
このような手数料の設定で商品が設定されています。
他にもネット保険等を含め、さまざまな生命保険会社から信託銀行などと連携したサービスが設定されていますので、状況に合わせて確認してみると良いでしょう。
生命保険信託を利用する際の流れ
生命保険信託を実際に利用する際の一般的な流れについて解説します。こちらも細かい部分はそれぞれのサービスごとに異なるので、参考程度に確認してください。
まず初めに、生命保険の契約者となる委託者が、生命保険会社と生命保険契約を締結します。並行して、委託者は受託者となる信託銀行と信託契約を締結し、保険金を受け取る権利を信託します。
委託者は受託者に信託するタイミングで、受け取った保険金を渡していく受益者の優先順位や実際にどのように資金を渡していくか?という点を明確にしする必要があります。
委託者が生きている間に必要なのはここまでで、もし必要であれば生命保険や信託銀行との信託契約を解約することも可能です。その場合には、掛け金が目減りした分しか手元に戻ってこないので、注意が必要です。
委託者が亡くなってしまった場合には、受託者が生命保険会社に死亡保険金を請求し、生命保険会社は保険金を支払います。その後はあらかじめ委託者と一緒に決めた優先順位や金額、タイミングに応じて管理している保険金を支払っていきます。
一般的にはこのような流れで生命保険信託の手続きが行われていきます。手数料はかかってしまいますが、きちんと管理してもらえますし、意図したタイミングで渡したい人に金銭を届けられる点はとても魅力的です。
生命保険信託 まとめ
今回は、遺産相続で用いられることがある相続方法の一つ、生命保険信託について解説してきました。
生命保険信託は、生命保険金を家族のために使うのはもちろんですがそれ以外にも寄付など意図した使い方ができるのが大きなメリットです。また、受取人が高齢者や資金管理ができない幼い子供の場合には、適切なタイミングで資金を渡すことが可能です。
使用する際には手数料が必要になってしまうため、トータルの受け取り保険金が目減りしてしまう点や、節税には繋がらない点がデメリットとして挙げられます。
さまざまな会社から商品が提供されているので、相続に対して他の選択肢も含めて各社のサービス内容を比較しながら検討するのが良いでしょう。
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