床暖房について説明します。
「冬の朝起きると、床が冷たくて毎日びっくりしてしまう。靴下やスリッパを履けばいいのかもしれないけど、せっかく無垢材を使った床にしたので、裸足で触れていたい。」
「暖房としてエアコンを使ったり、ファンヒーターを使っている。部屋全体は暖かくなるけど、どうしても床は冷たいままなので何とかならないかな?」
このように感じている人は、床の下から暖めてくれる床暖房を魅力的に感じるのではないでしょうか?床暖房は多くの場合、リビングやダイニングなどに設置され、床の下で熱を発生させることで床を暖め、暖かい空気が高い所に上がっていく効果を利用して部屋全体を暖める暖房設備です。
今回の記事では、床暖房の種類やそれぞれの特徴。また、床暖房のメリット・デメリットを紹介していきます。加えて、床暖房を導入する際に注意すべきポイントを明確にして、床暖房が本当に必要なのか?課題を解決できる他の選択肢がないのか?という点について、確認していきましょう。
床暖房とは
床暖房の名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際に使ったことがない場合にはどのようなものかイメージできない人もいるでしょう。
床暖房は床の下に熱源を設置し、床材を加熱することで部屋全体を暖められる暖房システムです。
熱源から発生させた熱を伝える方法は主に3種類です。
ホットカーペットや湯たんぽのように物の中を通って熱を伝える電動、また、エアコンやファンヒーターのように、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に移動する対流があります。
床暖房はこれらとは異なり、赤外線が壁や天井に反射して暖まるふく射という効果を活用したものです。
床暖房の中にも複数の種類があり、ガス(電気)給湯式、ヒートポンプ式、電気ヒーター式の3種類が代表的な床暖房の種類です。
それぞれ特徴的でメリットデメリットがあるシステムなので、特徴を確認していきましょう。
ガス(電気)給湯器式
もっとも一般的に使用されている床暖房のシステムは、暖めたお湯を床下に循環させることで床材を暖めます。熱源機はガスがもっともポピュラーですが、オール電化住宅などの場合には電気を熱源とする場合もあります。
メリットとしては温水パイプを設置することで1台の熱源で複数の部屋を暖めることができたり、ガス暖房の中では比較的暖まるのが早いです。一方で、設置する範囲が広ければ広いほどパイプを設置する費用や、熱源機を設置する必要があるため、他のシステムに比べると初期費用が高くなりがちです。また、プロパンガスを使用する場合には、その分ランニングコストも高くなる点には注意しましょう。
電気ヒーター式
電気ヒーター式の床暖房は、床暖房を導入したいけど初期費用を何とか抑えたい!という人に人気のシステムです。
床材の下に電熱線のパネルを設置するだけで利用できるため、施工する部屋を限定したり、部分的な暖房としても使用可能です。
また、自動で温度が上がりすぎないような調節機能や、電気が流れ過ぎた場合に発火を抑えるために電気を遮断するヒューズが装備されているため、安全性が高い点も特徴の一つです。
一方で、最大のデメリットは昼間の電気料金が高い時間帯に長時間使用する場合、暖房費用が高額になってしまいます。安い深夜時間帯の電気料金を使用出来ないので、驚いてしまうかもしれません。また、広い範囲に設置する場合には、電力会社と契約する電気容量をあげないといけない可能性もあります。基本料金も高くなってしまいますので、注意が必要です。
ヒートポンプ式
今まではガス給湯式と電気ヒーター式が主流でしたが、最近はヒートポンプ式の床暖房も人気を集めています。ヒートポンプというと多くの人がイメージするのは、エアコンではないでしょうか?また、冷凍冷蔵庫にも使われている技術です。
ヒートポンプは少しの電気を使って大気中の熱を集め、それで温水を作り床下に送り込むことで床暖房を実現しています。
ヒートポンプ式の床暖房は、エアコンと共用できる室外機に、床暖房に送り込む温水を作る床暖房ユニット、また温水を通す温水配管に、その温水によって床を効率よく暖める床暖房パネルというのが、一般的な組み合わせです。
暖まるまで多少時間がかかり、また初期費用もかかりますがランニングコストが安い点が大きな特徴です。
また、既に多機能型のエコキュートを導入している場合には追加で熱源機を購入する必要はありません。
火を使わないので安心ですし、オール電化の住宅など電気代を効率よく支払えるような家庭にはおすすめの床暖房システムです。
床暖房と一言でいっても種類が複数ありますので、導入を検討する際には自分たちの状況に合わせてメリットデメリットを明確にしておきましょう。
床暖房コスト
床暖房の導入を検討する際に必要不可欠なのはコストです。導入時にかかるイニシャルコストに、実際に日々使っていく中でかかってくるランニングコスト、また、定期的なメンテナンスでかかるメンテナンスコストのそれぞれについて確認していきましょう。
ガス式
ガス式は初期導入費用もランニングコストも比較的高めです。広い範囲を長期間使用する場合には、電気式に比べると安くなることが多いでしょう。
また、新築で導入する場合には、風呂給湯器とセットで導入することで、初期導入費用を抑えることも可能です。
ランニングコストは、ガスの種類が都市ガスかプロパンガスかなど、ガス代によって大きく変わります。
もし自宅のガス代が比較的安く、電気代が高い場合にはトータル費用で電気式よりも安くなるタイミングは数年で訪れるでしょう。
また、ガス式の床暖房はシンプルな構造なのでメンテナンスがほとんど必要ない点も、大きなメリットと言えるでしょう。
そんな中でも寒い地域で、温水に通常の水ではなく不凍液という、寒くても凍らない水が使われている場合には注意が必要です。
大体10年程度を目安に交換の必要があります。ただし、価格はそれほど高くありません。
ヒートポンプ式
ヒートポンプ式のイニシャルコストは、既に多機能型のエコキュートを導入済みかどうかで大きく異なります。
導入済みの場合には共用できるのでそれほど費用はかかりませんが、ない場合には新規で室外機を導入する必要がありますので高額になってしまいます。
一方で、ヒートポンプが大気からの熱を効率的に暖房に変えてくれるので、他の床暖房システムに比べるとランニングコストは低く抑えられます。
長期で使い続ければ続ける程、他の方式に対する優位性が大きくなっていくので、長期的な視点でライフスタイルを検討すると良いですね。
メンテナンスのコストはガス式とほとんど変わりません。
温水を用いている部分はガス式と同じですし、室外機の部分はエアコンの室外機でもそれほどメンテナンスが必要ないことを考えると、最低限の清掃程度で問題ありません。
ある程度長い期間使うか、既に多機能型のエコキュートを導入していてイニシャルコストを抑えられる場合には、とても魅力的な暖房システムと言えます。
電気式
設置するエリアが限定されていたり、使用頻度がそれほど高くない場合には温水式やヒートポンプ式に比べると、電気式の方が設置コストは抑えられます。
配管工事や室外機などの導入費用がかからず、必要な範囲だけに設置できるためです。
一方で、広い範囲に導入しようとするとその分設置費用が高額になってしまいます。
メンテナンス性は温水式の床暖房に比べると、電気式は電熱線が切れてしまうことがあるため、修理が必要になる確率は比較的高いです。
・床暖房を設置する範囲をどの程度にするのか
・実際にどれくらいの期間使う予定があるのか
・自宅の状況(他の暖房設備、リフォームのタイミングなど)
これらによってどの床暖房システムを導入するのがコスト的に優れているのかは変わってきます。経験の多い業者に自宅の状況や使い方を相談しながら、決めていくと良いですね。
床暖房メリット
床暖房以外にも暖房機器や多くありますが、他の暖房に比べて床暖房はどのような点が優れているでしょうか?
足元から部屋全体が暖まる
エアコンは高い所から温風を出しますが、風の向きを下向きにしたとしてもどうしても暖かい空気は高い所にいってしまうため、なかなか足元は暖まってくれません。電気式のストーブやファンヒーターでは足元をピンポイントで暖めることは出来ても、部屋全体を暖めることは難しいです。
床暖房であれば床下から暖めることで空気がのぼっていき、部屋全体を暖めることが可能です。足先の冷え性や部屋全体を暖めたい場合にはおすすめです。
部屋が乾燥しにくい
エアコンやファンヒーターの場合には風を使って部屋を暖めるため、どうしても肌が乾燥したり、風に当たって体調を崩してしまったりとデメリットを感じるシーンがあります。床暖房の場合には最初に紹介したようにふく射といった赤外線の効果を用いているため、風がなくても部屋を暖めることが可能です。乾燥すると肌への影響だけでなく、風邪を引きやすくなる場合もあるので、体調管理しやすいという点で優れています。
邪魔にならない
掃除をするときに、ヒーターが床に置いてあると邪魔ですよね。また、エアコンの場合には定期的にメンテナンスをしないと中に埃がたまってしまう場合があります。床暖房は特に生活空間に邪魔になるものはないので、ストレスなく掃除ができますし、生活がおくれます。導入前には気づきにくいポイントかもしれませんが、大きなメリットの一つです。
床暖房デメリット
一方で、床暖房にはデメリットとなる点もあります。後から後悔しないように確認しておきましょう。
初期設置費用が高額
他の暖房機器に比べると、初期設置費用は高額です。新築時に合わせて導入するか、大規模なリフォームをする際に合わせて導入するのがオススメです。床暖房だけを設置する場合には、計画的に費用を準備する必要があります。
暖かくなるまでに時間がかかる
温水式の場合には床暖房のスイッチを入れてから、熱源によって暖められた温水が床下の配管をめぐり、少しずつ床下を暖めます。それが床に伝わりふく射で部屋全体が暖まるまでにはある程度の時間がかかってしまいます。寒いときに短時間だけ暖かくしたい!という場合には、床暖房は向いていません。
床暖房システムにはメリットとデメリットがあります。結局は、暖房をどういう風に使いたいのか?によって感じやすいもの、感じにくいものがあります。まずはどう使いたいのか?を明確にしましょう。
床暖房するにしても床下の断熱は大切
一方で、床暖房システムの性質上、床材を暖めるにはまず床下を暖める必要があります。床下に冷たい空気が入り込まないように床下をしっかり断熱することは重要です。
断熱が不十分だと、せっかく温水や電熱線で床下を暖めたとしてもそれが外に出てしまって、床材が暖まるまでに時間がかかってしまいます。
床下の断熱が不十分だと、部屋を暖かくなるまでに時間がかかる上に、暖房費用も高額になってしまいます。長い間使い続けるとかなり大きな金額になってしまいますね。
逆に言えば、床が冷たくなってしまう理由として、床下の断熱が不十分で冷たい空気が床下に入ってしまう点が考えられます。結局は、床下や家全体の断熱をしっかりしておけば床暖房でしか対策ができないような影響はないとも考えられます。
床暖房で寒さ対策をするのも一つの案ですが、家全体や目の届きにくい床下の断熱に関しても気にしてみると大きな効果が得られるはずです。
床暖房まとめ
床暖房システムは、他の暖房機器にはない独自のメリットを多く持っているため人気の暖房設備です。一方で、初期導入費用が高かったり簡単に設置はできなかったりとデメリットとなる点も多くあります。まずは家庭でどのように使用するか?という点を十分に吟味して導入の検討をする必要があります。
また、せっかく導入したとしても床下の断熱や家全体の断熱が不十分だった場合には、効果を感じにくくなるばかりか暖房費用も高額になってしまいます。特に新築住宅や大規模なリフォームのタイミングには、暖房機器の導入検討の前に家全体の断熱が十分できているのか?という点に気を付けた方がランニングコストやメンテナンスコストまで考慮すると、メリットを感じられる可能性が高いです。
対処療法のための暖房設備だけでなく、寒さの原因となる冷たい空気が入ってくるのを防ぐ方も検討できるといいですね。
そもそも論になってしまいますが、断熱工事をしっかりと施工した高断熱住宅においては、床暖房は不要です。
エアコンの暖房だけでも十分に家の中を温かい状態に維持することが可能です。
床暖房についての動画
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