断熱工事を失敗しない為の4つのポイント。断熱、気密、透湿、防湿、 新築もリフォームにおいても
ここ最近、断熱工事はだんだん注目されるようになってきています。
やはり、ZEHなどをハウスメーカーが宣伝するようになったことの影響がとても大きいと思います。
ただ、ちょっと気を付けて欲しいことがあります。
その断熱工事は、ちゃんとした断熱工事になっていますか?
高断熱をうたう工事会社が多くあらわれるようになってきましたが、そういった方々とお話ししたところ、全く知識がないと思わざるを得ないような程度の知識の業者がほとんどです。
高断熱をうたう業者さんとお話しする時には、本当にその人が断熱工事を理解している人かどうかをしっかり見極めてください。
断熱工事においては、ここが大切という事を以下にて説明していますので、読んで頂けたらと思います。
断熱工事のプロ
先日、亀岡市で施工中の新築現場にて、断熱工事のレクチャーを受けました。
レクチャーしてくれたのは『株式会社ビーアイビー』さんです。
私は、断熱工事に関しては日本一の会社だと思っています。
以前、新住協関西研修会にて、講師をしていただき、そこでの動画を見て、衝撃を受けました。
『こんな断熱施工する会社があるのか⁉』と。
とにかく綺麗に断熱施工されていて、初めて見る驚きの断熱工事の仕上がりでした。
と言いましても、石膏ボードを張ってしまえば見えなくなるものですが…。
研修会での講義を聞いた時、私が次回新築する際には、必ず来てもらい、レクチャーを受けようと思いました。
そして今回その希望が叶い、遠路はるばる仙台から京都まで来ていただいて、断熱施工をして頂きました。
当然ながら、仙台から来てもらうので、自分たちで断熱施工するよりもコストはかかりますが、コストを払ってでも来てもらった甲斐はありました。
私も半日は一緒に作業をしてもらい、本物の断熱施工を体験することも出来ました。
見るだけではなかなか分からないことも、自ら体験することにより、より深く理解することも出来ました。
防湿シート張りまでは、自分で仕上げて体験し、分からないところは、その都度指導をもらい、大体のことは理解できたと思います。
断熱工事、施工で大切な4つのポイント
断熱工事の施工でとても大切な4つのポイントがあります。
①断熱
②気密
③透湿
④防湿
①断熱
断熱とは、読んで字のごとく、熱を断つことです。
建物の外気に触れる部分で断熱することにより、外気の温度に影響されにくくなります。
断熱で大切なのは、断熱層が続くことです。
天井・壁・床・窓といった、外の空気に触れる部分を断熱材で建物をぐるっと囲んで断熱材が切れずに続く様に断熱材を施工します。
また、棚などを壁に留めるための下地を入れた場所などは、その下地の厚み分だけ壁の中のスペースが狭くなるので、断熱材の加工が必要になります。
下地の裏面は空間が狭くなるのですが、その中へもきっちり断熱材を入れます。
室内側は防湿シートと断熱材との間にできるだけ隙間ができないようにします。
しかしここの隙間につきましては、そんなに神経質になる必要はありません。
実は断熱工事で一番のポイントは空気の移動を無くすことです。
きっちりと、気流止めをしていれば、多少の隙間はあっても断熱としては問題はありません。
断熱材の隙間と聞いて『え⁉本当に⁉︎』と思われるかも知れません。
これは本当の話です。
実は、断熱材を施工しても、寒い家があります。
そういった場合の問題は、気流止めがされてないことです。
気流止めを施行することで、断熱が効いてきます。
気流止めが施工されることで、空気の移動がなくなり、断熱が効いてくるのです。
・・・すいません。
断熱について、とっても大切な話をするのを忘れてました。
そもそも断熱材とはどういうものかというお話しです。
断熱効果の高い材料とは、実は空気のなんです。
断熱材とは、どの様にして空気をとどめるかという事を考えて作られているのです。
グラスウールであれば、ガラス線維を綿状にする事で、その繊維の中に空気をとどめます。
スタイロフォームなどのボード状の断熱材に関してもボードの中に気泡を作り、空気をボードの中にとどめます。
ウレタンフォームに関しても同じです。
発泡させる事でウレタンフォーム内に気泡を作り、その気泡の中に空気をとどめます。
その他の断熱材についてもほとんど同じです。
ということは、空気を閉じこめる事ができれば、断熱を効かせる事が出来ます。
その一番分かりやすい例が、ペアガラスではないかと思います。
ガラスとガラスの間に空気を閉じ込める事により、断熱性能をあげているのです。
断熱についての以前のブログを読んでみてください。 → 高断熱の技法 キホンのキ
写真は、パイプと外壁構造面材との隙間をウレタンフォームにて断熱処理しています。
②気密
気密とは、建物の中をできるだけ密閉して、空気が建物の中から外へ、また外から中へ移動するを防ぎ、冬の温めた温かい空気が家の外へ出ていったり、外の冷たい空気が家の中に入ったり、また夏の家の中の冷えた空気が家の外へ出ていったり、外の暑い空気が家の中に入らない様にするためにの影響を受けないようにする為にすき間を無くす事です。
極力建物の内部と外部の自然な空気の出入りをなくします。
また気密を取ることは、換気にも大きな影響を及ぼします。
いくら換気計画をしっかりしたとしても、気密が取れず、すき間が多い状態になると、換気が計画通りに行われなくなってしまいます。
これは、穴の空いたストローで水を飲もうと思っても水を吸えないのと同じです。
穴の空いたストローでは、水を吸うのがなかなか難しいと思います。
断熱工事 気密施工のポイントについて
気密施工で大切なのは、空気が室内外に移動しないように、ビニールのシートを隙間なく連続させます。
ビニールシートとビニールシートのジョイントは防湿シートを重ねてタッカーで留め、その上を気密テープを貼ります。
室内の気密テープについては、高断熱施行に慣れた工務店は、テープを貼らない場合もあります。
防湿シートと防湿シートを柱や下地材の部分でしっかりとタッカーで留めた上にプラスターボードを張るので、それで気密は取れてしまいます。
この写真は株式会社ビーアイビーさんのお手本の施工です。
本当に素晴らしいです。
こんな施工をされた断熱材と防湿気密シートは、ほんとうに見たことありません。
③透湿
透湿とは、字の通りですが、湿気を通す事です。
透湿層の役割は、壁の中の水蒸気を壁の外へ吐きだす事です
透湿層へは透湿防水シートを張ります。
透湿防水シートには、タイベックやフクビなど色んなメーカーの商品があります。
メーカーとしては、タイベックが一番古いのではないかと思います。
透湿防水シートは水は通しませんが、水蒸気は通すという性質を持っています。
ですから、壁の内部の水蒸気は外部へ通しますが、外からの雨などの水は弾いてしまい、壁の中へは入りません。
水蒸気は排出し、外からの水は躯体内へ入れない様に防水するのです。。
施工のポイントは、
透湿防水シートを壁の外部側に連続させます。
弊社では今回から、3m幅のタイベックシートを採用し、より防水性を高めています。
※注意:仕様は予算によって変わります。
タイベックは他のメーカーよりも質が良いこともあり、値段も高めになります。
耐候性も高く、そのまま外部で用いても、ほかのメーカーの物よりも長持ちすると聞いています。
メーカーの情報ではなく、弊社と取引のある業者さんからの実験結果です。
④防湿
防湿とは、次の通り湿気を防ぎます。
防湿層は、躯体の室内側へ連続させることにより、躯体内へ湿気が入ることを防ぎます。
湿気とは、
空気中の水蒸気のことで、その粒子の大きさはとても小さく防湿シートを張っていても少しは壁の内部へ入り込んでしまいます。
ですから、防湿シートをきっちり張ることは、構造躯体を守るという意味でも、とても大切なことなのです。
この写真は、私が施工した部分の写真です。
やはり少々締まりがないような気がします(笑)
※注意
気密層と防湿層は分けて施工することもあります。
その辺りは、勉強している工務店は、きっちりと意識して施工されていますので、気密層と防湿層が別々になっていてもご安心ください。
断熱工事の知識を持つことの大切さ
最近の住宅業界では、ZEHや省エネという言葉が溢れています。
ZEHや省エネ住宅には、ちゃんとした断熱知識と断熱施工は不可欠です。
また、『高断熱』『高気密高断熱』『省エネ住宅』を謳い文句に大々的に宣伝している工務店も多々あります。
こちらについても当然のことながら、ちゃんとした断熱知識と断熱施工は不可欠です。
ですから、本当にその工務店が『高断熱や断熱施工をしっかり理解できているのか?』ということを判断できるようになるということがとても大切になってきていると思います。
これから家を新築されたり、リフォームされたり、リノベーションされる方は、その辺りの見極めがつくように勉強されることを強くオススメいたします。
せめて、自分で判断するためのそれなりの判断基準を持つべきだと思います。
弊社にとって、この度の株式会社ビーアイビーさんの施工レクチャーは本当に有益でした。
今後とも良いお付き合いをしながら、断熱施工の質を上げて、職人さんの質の向上にも取り組んでいきたいと思います。
断熱材はどれが良いの?
『断熱材はどれが良いのか?』
ここの答えを持っているお施主さまは、なかなかいないのではないでしょうか?
実は、この答えを持っている工務店もなかなかいません。
私はいろんな工務店の集まりに顔を出すことがあるのですが、そこでよく聞かれるのが
『断熱材は何が良いの?』
ということです。
そこで私は『それは、工務店が自分自身で決めることですよ。』と答えています。
こういう質問をしてくる工務店経営者や工事担当者は、断熱工事の勉強を全くしていない人たちです。
ちゃんと勉強していれば、どの断熱材を使うか
は、おのずと見えてくるものなんです。
上記の断熱施工の4つのポイント
が理解できていれば、あとはどんな断熱材を使っても良いのです。
断熱材が違うことによる効果違いは、
熱伝導率の違いと断熱材の厚さの違いによるQ値の違いです。
Q値が違うということは、熱の損失量の違いにより、温かさや快適性や電気代などに差が出てきます。
あともう一つお施主さまにとって、とても大切なことに差が出てきます。
それは、材料費です。
実は使う断熱材によって、材料費に大きく差が出ます。
断熱材は、高性能になればなるほど、高価になっていきます。
ですから、あまり勉強していない工務店が材料の性能だけで断熱材を選んでいる場合、無駄に高いお金を払っている可能性があります。
勉強をしていない工務店は、施工が悪くて燃費の悪い家になっているだけではなく、家を建てる際に余分なお金を払っている可能性も大きいのです。
断熱工事は、建ててしまえば全く見えない工事なのですが、建てた後の生活にもとても大きな影響がでるものです。
断熱工事がしっかりできる工務店の見極めはしっかりしてください。
関連動画:壁の構造はこうでないとダメ!
わしのプロフィールはこちらじゃ!読むがイイ!
スギウラ
無料プレゼント
無料のメルマガ登録で今すぐ受け取ることができます。
1級建築士が作った!
注文住宅で失敗しない
チェックシート
あなたのお家の
快適レベルは?
『断熱レベル診断』
業界の裏側までわかる
リフォーム業者の
選び方