大工造作について説明します!大工さんはなんでもできます!
「注文住宅を建てるときに、大工さんが一緒に家具を作ってくれると聞いたけど、本当?」とか、「大工さんだったら木材も工具も上手く扱える専門家だから、いい感じの家具を家に合わせて作ってくれるはずだ!」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。
確かに、注文住宅を建ててくれる大工さんは木材の扱いにも工具に扱いにもなれていますし、実際に家を建てているので寸法なども考慮した上で適切な家具を作ってくれそうです。
今回の記事では、注文住宅を注文する際に大工さんにお願いできることや、できないことを明確にしていきます。また、価格やデザイン、出来栄えなどを量販店の家具や、専門の職人さんが作った場合と比較して解説します。
実際に依頼する際に困らないように、事前知識として把握し、相談できる状態にしておきましょう。
大工造作では何ができる?
注文住宅で大工さんに作り付けの家具や棚などを作ってもらうことを造作と呼びます。相談するにしても、どんなことができるのかわかっていないと具体的なイメージを持てないですよね。まずは大工造作とは具体的に何のことで、どんなことができるのかを確認します。
大工造作とは
造作工事とは本来、家を建てたあとに木材を加工して、引き戸や障子、ふすまといった木材の家具を取り付ける工事のことです。最近では洋風の家が増え、特に障子やふすまを取り付ける家も少なくなってきました。
「造作」というのは、構造には直接関係しない壁や床、階段、窓枠などのことで、室内装飾の仕上げなどを材料である木材から加工・組み立てを行う工事のことです。
後から購入しようと思っていた収納や、テレビボードなども造作工事に含めて作ってもらえれば、建具や他の造作との統一感を持たせられそうですね。
大工さんは、大体なんでもできる
それでは、大工さんは具体的にどんなものを作ることができるのでしょうか?結論から言うと、住宅の建築現場にある材料や工具を使って作れるものなら、大体どんなものでも作りあげることができます。
元々木材の加工や組み立てに関しては専門家ですし、図面を読めますので大体のものは作れてしまいます。また、自宅への取り付けもお手の物です。
造作のメリット
大工さんにお願いする大工造作には、他の手段では実現できない大きなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、いくつか解説していきます。
棚などを別で購入する必要がない
注文住宅を新築で建てた後には、家族が気に入る家具を取り入れたいですよね。どの家具がよいか選ぶのは楽しいですが、既製品の中から思い通りの家具を見つけるのは簡単ではありません。
場合によっては好みの家具が見つかるまで何軒も家具屋さんを回ったり、結局見つからなくてしばらく家具無しの状態で生活する可能性もあります。それが大工造作であれば、事前に希望したデザインや形状の棚などを作ってくれますので、家具探しで疲れてしまうこともありません。
新築住宅を建てる際には、引っ越しの準備や新しい家電の購入、そのほかこまごまとしたものをたくさん買い集めておかないといけません。家具選びは家族でコミュニケーションを取りながら楽しくできるものですが、あまりにも決めないといけないことが多すぎると、楽しいはずの家具選びも辛くなってしまう可能性があります。
家の間取りなどを決めている段階で、ある程度作り付けの家具などを決めて置けると、デザインの中心にもできます。また、時期的にも多くのものを購入するタイミングとずらすことができますので、精神的に余裕ができるのも大きなメリットです。
家との統一感を出せる
注文住宅の場合、建売の家にはないこだわりをしかけた家になっている場合がほとんどです。場合によっては既製品の家具を購入しようとしても、サイズや形状が合わない場合もあります。
また、家の中に建築時点で一般的にはあまり使われない材料を使っている場合には、既製品の家具でバランスの取れるものを見つけ出すのが難しい可能性もあります。そんな時には大工造作で似たような材料で作ってもらえれば、統一感を出せるため、魅力的です。
気に入った家具を買ってきても、家にある他の家具や家自体の持つ雰囲気と合わずに、結局気に入らなくなってしまった。というリスクがありますが、住宅を建築している大工さんに頼めば、家自体とはマッチした雰囲気の家具を作り出せるため、不要な心配をしなくてよいのも大きなメリットといえます。
DIYでは実現できないクオリティ
既製品を購入するのではなく、オリジナルの家具を導入するための選択肢としては、自分自身で対応をするDIYもあります。しかし、よほどの腕を持っていなければ、注文住宅を建てるようなこだわりの強い人が満足する家具を作りあげることはできません。それこそお店をできるレベルではないと無理でしょう。
各個人で趣味として、もしくは金額を抑えるためにDIYにチャレンジするのは問題ありませんが、やはりそこは素人の実力です。失敗して取り返しのつかないことになってしまったり、作ってみたけどあんまりイメージ通りではないという状況はよくありそうです。覚悟の上でやるのなら問題ないと思いますが、失敗したくないのであればDIYで必要なスキルを身につけるか、しっかり勉強してイメージ通りの家具を作れるようになるのは簡単ではありません。
造作のデメリット
一方で、大工造作はメリットだけではありません。デメリットもありますので、きちんと確認していきます。基本的には満足度が高いですが、求めるレベルや金額によっては大工さんに依頼しない方が良い場合もありますので、注意が必要です。
専門の職人には敵わない
大工さんが現場で工具を使って何でもできてしまうとはいえ、それぞれ専門分野の職人さんにはかなわない場合が多いです。例えば家具職人は専門の工場で専門の工具を使って家具を作ります。一方で大工さんは現場で作りあげていきますので、どうしても工具や最後の細かい仕上げの部分などで差は出てしまいます。
また、専用の工具がないとできない加工もありますので、作れる家具も限られてしまいます。特に大型の家具は難しいかもしれませんが、一般の家庭で必要なものは十分作れますので、それほど心配しなくて良いでしょう。
細かな装飾が必要だったり、特殊な技術で木材以外と組み合わせたり、複雑な形状を実現したい場合には、大工造作ではなく専門の職人さんに依頼する方が良いです。価格も安くなるかもしれませんし、作れるものにお幅も広がります。
量販店と同じようなものは、高くつく
また、大工造作でありきたりなものを発注する場合には、思ったよりも高いなと感じてしまうかもしれません。住宅と一緒に作ってくれるのであれば、サービスで安くなるのかなと思いますが、大工さんに作ってもらう場合の料金計算は、何日かかったかという『人工計算』(ニンクケイサン)です。
どれくらいの時間作業をするのかと、材料費によって金額が決まりますので、複雑なものを作ってもらったり、作るものが多く日にちがかかればかかるほど、金額は上がっていきます。
既製品の場合には、オーダー家具などであれば作っている場所も職人さんも明確で信頼性も高く品質も高いですが、非常に高額になります。一方で、量産されているような家具が作られているのは多くの場合、賃金が安い途上国です。たくさん同じ製品を作ることでボリュームメリットを出すことと、賃金が安い国で作ることで、ホームセンターや家具量販店の家具は低価格を実現しています。
既存の寸法やデザインでも満足できる場合には、わざわざ大工造作を利用しなくても、リーズナブルに購入できる量販店の家具を選択するのも良いでしょう。一方で、既製品ではどうしても寸法が合わなかったり、材料を特注で作りたい場合など使いどころを限定して、ある程度金額が高くても納得できる部分のみ大工さんにお願いしましょう。それ以外の部分を量販店で購入したりすることで、好みと価格のバランスを上手くとった家具の準備ができるはずです。
簡単に取り外しができない可能性も
取り外しや持ち運びができるタイプのものであれば問題ありませんが、例えば壁に作り付けの棚や洗面台、キッチンカウンターなどは壁に完全に固定されているため、簡単には取り外しができません。
ずっと気に入って使い続けるのであれば問題ありませんが、気になるのはデザインの好みが変わってしまったり、一部が汚れたり破損したりした場合です。壁と一体化していますので、そう簡単に取り外しはできません。
どうしても交換したり、そのスペースを違う目的で使いたい場合には、まず住宅メーカーに相談するのが一番ですね。
大工造作を依頼するタイミングは?
大工造作のできることやできないこと、メリットやデメリットを把握した上で、住宅と一緒に家具や建具などを作って欲しいと思った場合、いつ依頼をするのがよいのでしょうか?
基本的には間取りを決め、家の細かい仕様を決めていく段階で設計師の方と大工造作に関して話をし始めるのがおすすめです。遅くても、着工の前には確実に決めておかないと段取りが崩れてしまったり、意図したものが作れなくなる可能性があります。
大工さんは現場の段取りを最初から最後まで把握しており、電気や水道、内装などさまざまな業者さんの取りまとめをしています。最後の方で計画変更が行われると、その段取りが崩れてしまう可能性があり、せっかく調整したのにやり直しになってしまう可能性が大きいです。
理想的な段取りが崩れてしまうと、工事の進捗が遅れたり他の職人さんが作業に入れなくなったり、順番が入れ替わることで手間がかかってしまうこともありますので、出来る限り早い段階から相談をしましょう。
イメージ通りでなかったらどうする。
注文住宅自体もそうですが、大工造作に関しても事前に完成形を見ることは基本的にできません。そのため、事前にイメージのすり合わせをしておき、要望をきちんと伝えておくことは必要不可欠です。
とはいえ、必ずしも100%の希望が伝わるわけではなく、どうしても希望とできあがりがずれてしまうことが、低い確率で生じます。そのような場合には、どこがどう違っているのかをきちんと整理して住宅メーカーの担当者や設計者に伝えましょう。
そのままにしているとせっかくの注文住宅なのに気分が晴れず、不満を持ったままの新生活になってしまいます。伝えた結果として、このままのデザインで納得するか、作り直すことができるのかなど、相談することで気持ちを新たにしましょう。
まとめ
注文住宅には、建売の住宅に比べて多くの要望を盛り込むことができます。自分たちが生活する環境に対してこだわりの強い人にとってはとても魅力的です。さらに大工造作を依頼することで、そのこだわりをより強く実現できます。
大工さんは木材や工具を扱うスペシャリストなので、現場にあるものを使って大抵のものを作ってしまいます。しかし、専門の工具や設備を使わないと作れないような複雑なものは、家具や建具などその専門の職人に作ってもらった方が良いでしょう。
また、既製品と似たようなものは大工さんに頼むよりも量販店で購入した方が、コスト対効果が高いです。大工さんはかかった時間が長いほど価格に転嫁されるため、大工造作の場合には思ったより高いと感じることもありますが、量販店で販売されている家具は、労働力の安い海外で大量生産によってコストを下げているため、満足できる場合にはそちらの方がおすすめです。
大工造作で頼むと満足度が高いものは、注文住宅のデザインに合わせたもので、なおかつ形状が複雑すぎずに、サイズや形状が既製品ではない家具や棚といえます。この場合には、大工造作のデメリットを消し、メリットを最大限に活かせます。家具を入手する選択肢のメリットやデメリットを把握し、予算とも相談しながらバランスよく選択していくのが重要です。
大工造作を依頼する場合には、間取りを決めている段階など早い時期に相談をしましょう。実際に工事に入ってからでは、せっかく大工さんが考えた最適な段取りを崩してしまう可能性もありますし、希望の造作を実現できないこともあります。
大工造作はその特徴を活かせば非常に魅力的な家具を手に入れられる手段の一つです。注文住宅を検討する際には、統一されたデザインやサイズを実現できる大工造作も合わせて検討してみると良いでしょう。
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