スキップフロアのメリット・デメリットについて
「あまり広くない土地なんだけど、スキップフロアなら広く感じるって本当?」
「できるだけ壁がない、開放的な家で家族みんな仲良く暮らしたいけど、いい間取りってないかな?」
一戸建て住宅を建てる際に、このように考える人も多いでしょう。
特に都市部の場合には敷地面積がそれほど取れない場合も多く、その中で少しでも広く感じる住宅を作りたいですよね。
そんな時にスキップフロアの住宅は有効な選択肢の1つです。また、広く感じるだけではなく、さまざまなメリットがあります。
この記事では以下のような項目を紹介します。
- そもそもスキップフロアって一体なに?
- スキップフロアの数あるメリット
- スキップフロアにはデメリットも
- スキップフロアの色々な間取り
この記事を読めば、スキップフロアのことを良く知らなかった人でも知識が身に付き、自分たちのしたい生活に合っているかどうか判断できるようになるでしょう。
うまく活用しながら、理想の家を作りあげていきたいですね。
スキップフロアとは
そもそもスキップフロアという言葉は何を意味しているのでしょうか?
一般的な定義によると、各階のフロアの高さを半階層ずつずらして、1.5階や2.5階をつくり、その間を主に階段で繋いだようなデザインのことです。
必ずしも半階層ずつずれた状態だけではなく、ある階の一部だけが少し高くなっている場合などもスキップフロアと呼ぶこともあります。
スキップフロアは他にも小上がりやステップフロアと呼ばれることもありますが、同じものを表現できているかわかりませんので、なるべくスキップフロアという言葉を使うのがベターです。
スキップフロアのメリット
スキップフロアが人気を集め、注目されている理由はそのメリットを感じている人が多いからです。
ここでは、数あるスキップフロアのメリットのうち、代表的な点を4つに絞って紹介していきます。
自分たちが理想とする生活・生活環境にマッチするかイメージしながら読むと、スキップフロアを採用するかどうか判断する材料になるでしょう。
空間が面白い
ほとんどの住宅では、大体同じ階にある部屋は天井の高さが同じで個性をあまり感じない場合が多いです。
そのため、個性を出す為には内装や家具、調度品で演出する必要がありますが、スキップフロアの場合は間取りの時点で個性があります。
家全体をいくつの階層に分け、それぞれどの程度の広さや天井の高さにするのかある程度調整が効くので、用途に合わせた部屋の設計が可能です。
また、ロフトや床下の収納を積極的に採用することで、居住スペースに使いたいのに収納スペースにせざるを得ない状況が減ります。
また、家の中に大きくない高低差がありますので、なんとなくアスレチックのようなワクワクした、遊び心を持った空間を演出可能です。
ある程度の空間を必要としますが、普通には実現できないような自分好みの空間を作れるとよいですね。
空間がつながった感じになる
一般的な住宅は部屋と部屋がしっかりドアや廊下で分けられ、1階と2階は長い階段で仕切られています。
しかしスキップフロアは部屋と部屋の間にドアや廊下はなく、階層も長い階段では仕切られていません。
部屋の間を移動するときに、ドアを開ける一手間が不要になりますし、廊下を移動する必要もありません。
空間が緩やかには分けられているものので、繋がった感じを受けます。
また、本来廊下や、何も活用出来ない空間だったはずのスペースを、収納スペースや居住スペースとして活用できます。
狭い土地であったとしても、無駄スペースを極力失くしあるスペースを有効活用することで、広さを感じられるのは魅力的です。
空間が繋がっているので、家族の雰囲気を常に感じながら穏やかに、一方でワイワイと活動的に生活できそうですね。
高低差のある土地にマッチする
スキップフロアは通常の住宅に比べると、比較的狭い範囲で階層を細かく分けていきます。
もともとの土地に高低差があった場合、低い側のスペースが無駄になりがちです。しかし、スキップフロアを活用すれば、土地に合わせた空間を構築可能です。
特に、1階分も高低差がない場合がほとんどだと思いますので、それ0.5階ごとを目安に調整できるスキップフロアと相性がよいですね。
床下や天井裏が使える
一般的に、床下や天井裏はスペースを確保できずデッドスペースになってしまうことが多いです。
しかしスキップフロアであれば部屋の仕切りをなくし、空間を縦に緩やかに繋ぐことで、床下や天井裏のスペースを有効活用できます。
特に、高さが1.4m以内に納まっている場合には延べ床面積に参入する必要がないため、各自治体への確認が必要ですが、税制上有利になる可能性もあります。
結果的に、うまい具合に収納スペースを確保したり、子供の遊び場や父親の隠れ家などを実現可能です。
スキップフロアのメリットまとめ
このように、スキップフロアは縦に空間を広げることで、従来無駄になりがちだった土地を有効活用しデッドスペースを解消します。また、空間を緩やかに分けることで演出できる面白い間取りなど、遊び心を表現しやすい点が、多くの人に支持されている理由です。
スキップフロアのデメリット
一方で、スキップフロアには後悔に繋がりやすい大きなデメリットがあります。スキップフロアのいい面だけを見て建築すると、失敗に繋がる可能性が高くなる為、あらかじめデメリットもしっかり把握しておきましょう。
知っておけば、対処ができる可能性も十分にあります。それでは、影響が大きいものを紹介していきます。
構造が難しい
スキップフロアは、2階建て住宅のように四角い部屋をいくつか分割して作っていけば良い訳ではありません。
- どれくらい高さに差を出せばいいのか?
- 高さを変える面積はどの程度にするのか?
とても複雑で、平面図だけではイメージをつけにくいです。
必ず3Dの模型や立体的に確認できるもので、理想通りの状態になっているのかは確認するようにしましょう。
逆に平面でしか対応してくれない場合には、依頼を避けておく方が良いかもしれません。
もう一つ注意点があり、スキップフロアの税制上のメリットは全国一律同じ基準ではないという点です。
特に管轄している地域ごとに特徴があり、スキップフロアと認められない場合があり建築制限の対象になる可能性もあります。
自分たちが家を建てたい地域で、スキップフロアの建築経験がある企業に確認しておくのが無難でしょう。
建てる時にややこしい
スキップフロアは設計をする時だけでなく、建築するときにもややこしいです。
空間が複雑なため、その分材料を多く使う必要があり、手間も多くなります。
その分コストがかかってしまう為、住宅の価格としては高くなってしまうことを覚悟しておきましょう。
また、大工さんに求められるスキルも必要になりますので、その点から見ても既に十分な実績のある建築業者さんで、実績のある大工さんにお願いする必要があります。
空間が全てつながるので全館空調が必要
スキップフロアは壁やドア、廊下が存在しておらず部屋が縦に繋がっています。そのため、冷暖房をかけたとしても暖かい空気は上へ、冷たい空気は下に流れてしまい、狙った効果を感じられません。
もしスキップフロアにするのであれば、合わせて全館空調の導入は必要不可欠です。
光熱費が高くなるのは覚悟しておきましょう。
家全体の断熱性や気密性を高めておくことで、冷暖房の効率を向上させることは可能なため、断熱性や気密性を高められないかは相談しておくといいですね。
エレベーターの設置が難しい
スキップフロアは基本的に壁を設置しないので、エレベーターの採用は難しいです。もしどうしても導入したい場合には、あらかじめエレベーター専用の壁があるスペースを設けておく必要がありますが、スキップフロアのメリットを消してしまう可能性があります。
また、当初は必要なくても後々必要になる想定がある場合、スキップフロアのほとんどは間取りから作り直さないと設置できないので、莫大な費用がかかります。
将来的にでもエレベーターを設置する可能性がある場合、スキップフロアの採用は避けておくべきです。
音が筒抜けになる
スキップフロアに壁やドアがなく、縦に空間が繋がっていることで家全体が吹き抜けのような状態です。
会話だけでなく、テレビを見る音やゲームをする音も家全体に広がってしまいプライベートな空間が無くなってしまいます。
常に家族で同じことをしていたり、配慮をしてイヤホンを積極的に使ったりするのであればよいですが、家族の中で一人でも不満を持つとうまくいかなくなる可能性があります。
実際に生活してみるまで分からないことが多いので、見学会に行った際などに試してみるとよいでしょう。
バリアフリーではない
スキップフロアは部屋と部屋の間がすべて階段で繋がっているようなイメージです。
身体が不自由で車椅子だったり、階段が苦手な方にはとても住みにくい環境になってしまいます。
将来のことも考えて、検討する必要があります。
スキップフロアの間取り
スキップフロアの間取りに関しても、簡単に特徴を紹介していきましょう。
スキップフロアのキッチン
キッチンとダイニングを一つの階層にまとめると、作った料理を階段で運ばなくてもよくなるので、効率的ですね。
空間を区切れるので、食事や家族の会話に集中できるでしょう。
ただし空間が仕切られていないため、食事の臭いが家中に広がってしまう可能性があります。
特に揚げ物や焼肉等、臭いが残りやすい食事をする場合に備えて、対策を取っておく必要がありそうです。
スキップフロアのリビング
開放的な広いリビングに憧れるけどスペースが十分に取れない場合、床面積は狭くてもスキップフロアのリビングにすることで開放感を得られます。
ダイニングやキッチンと隣り合わせにし、少しだけ段差をつけて繋げておくことで、空間を分けながらもコミュニケーションも取りやすい快適な空間にできるでしょう。
スキップフロアの寝室
スキップフロアの中でも寝室はプライベートな空間なので、完全に囲まなかったとしても低めの壁で囲んだり、ロフトや床下のスペースに設置することで視線を気にせずにすみます。
ただし、それでも気になってしまう人はいると思います。
もし誰か一人でも気になる人がいる場合には、あえて寝室だけは壁やドアを付けるなどということを考えざるを得ないかもしれません。
スキップフロアのお風呂・トイレ
スキップフロアの場合、お風呂やトイレを設置する場所は需要です。
毎日使う場所ですが、必ず階段を挟むことになるので、家事動線を考えないと大きな負担になってしまいます。
こちらは実際に住み始めて家事を毎日してみないと分からない可能性もあります。
住宅見学会などに参加し、この間取りだったら家事をどのようにするだろうか?という点をチェックすることをオススメします。
スキップフロアの平屋
実は平屋でもスキップフロアは可能です。
階段があったり高さを変えるのは難しいイメージですが、スキップフロアは小上がりといった意味合いです。
例えばリビングの一部に小上がりの畳みスペースを設置する場合、そこがスキップフロアになります。
他にも少し段差を付けることで、空間を緩やかに区切ったりできるため、平屋でもおしゃれなスキップフロアは実現可能です。
特に老後の夫婦2人暮らしに、負担にならない程度の段差を付けた平屋もいいかもしれません。
スキップフロアまとめ
スキップフロアは、狭い土地や高低差の土地であってもスペースを有効活用出来、おしゃれな空間を演出できる魅力的な間取りの考え方です。蔵やロフトとの相性もよく収納スペース
もしっかり確保できるのは嬉しいですね。
一方で、設計が難しかったり、実際の建築が難しかったり、コストが高くなったりと建築業者を選ぶ難しさがあります。
また、間違った設計をしてしまうと、税金面で不利になってしまう可能性があるので、地元で実績のある企業を選んでおきましょう。
また複数あるデメリットは、もし家族の誰か一人でも苦手なものがあれば、恐らく円満に生活していくことは難しくなってしまいます。
お互いに配慮した生活をしたり、一部スキップフロアでないスペースを作るなど、状況に応じて進めるのがオススメです。。
スキップフロアについて知識を得ておくと、家全体をスキップフロアにしなかったとしても、リビングとダイニングの間とか、ある一部分だけ採用することも可能です。知っておいて損はないので、まずはやれることや、メリットデメリットを理解しておきましょう。
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